設計者・部品選定者なら知っておきたい【キャスター】の基礎知識
設計者・部品選定者なら知っておきたい
【キャスター】の基礎知識
椅子や台車、店舗什器などさまざまな場所で使用されるキャスター。
種類や選び方などの基礎知識をご紹介します。
このページの内容
キャスターとは?
キャスターとは家具や店舗什器や機器に取り付ける車輪で、家具や機器をスムーズに移動させるために使用されます。
キャスターの耐荷重の考え方
キャスターの耐荷重は「耐荷重N」「耐荷重kgf」のように表記され、キャスター1個あたりの耐えられる荷重を表しています。
椅子や台車に取り付けた際は「キャスター1個あたりの耐荷重×使用個数×0.75(安全率)=総荷重」で算出します。総荷重が上に載せるものの総重量(椅子と座る人の総重量、台車と台車に載せるものの総重量)を上回るように選定してください。
0.75は安全率を示します。床面がフラットでない場合などにキャスターを4個使用していても3個で荷重を支えることになるため、安全率を掛けて算出してください。
弊社では、1個あたり20.4kgf(200N)の家具用のキャスターから、3600kgf(35300N)のAGVや工場内の台車などに使用できる超重量用キャスターまで幅広くご用意しています。
受注対応であれば11トンまでご用意しています。(2023年6月時点)
※走行面や走行速度などの使用条件によってこの安全率(0.75)は変化します。ご使用前に必ず、用途に適合するかどうかご確認の上選定ください。
シーンごとにおすすめのキャスター
家具向けキャスター
室内の家具に使用する場合は、床材との相性を考えて選ぶ必要があります。
代表的な床材におすすめの車輪材料を2パターンご紹介します。
エラストマー・ポリウレタン車輪
ビニル床シートやフローリングには、車輪が比較的柔らかくて床を傷つけにくいエラストマーやポリウレタンのキャスターがおすすめです。
ただし柔らかい車輪であってもゴムを使用しているものは床に車輪が走行した跡が付きやすいためおすすめできません。
車輪の家具向けキャスター
ポリアミド車輪
カーペットには、車輪が硬いポリアミドのキャスターがおすすめです。
車輪が硬いキャスターは耐荷重に優れている反面、フローリングのような傷がつきやすい床には不向きです。カーペットのような傷が付きにくくへこみにくい床に適しています。
家具向けキャスター
病院などの施設向けキャスター
掃除がしやすく異物を巻き込みにくい形状
病院など衛生面が重視される環境には、凹凸の少ない滑らかなラインで清潔を保ちやすいボディ形状のキャスターや、異物が入り込むのを防ぐ覆いがあるキャスターがおすすめです。
手元でロックができる
病室のベッドなど普段は動かないようにしつつ、移動も頻繁に行うものには手元で4輪を同時にロックできる電動キャスターがおすすめです。
工場向けキャスター
過酷な現場でも軽くスムーズに動く
人の手で動かす台車などには、1tの重さを一人でも運搬できる始動性に優れた超重量用のキャスターがおすすめです。ガラス片や金属片の上を走行しても車輪に刺さりにくく切れにくい材質も用意しています。
台車におすすめのキャスター牽引台車やAGVに対応
牽引台車には、衝撃や振動を吸収し、ハイスピード牽引でも静音かつ長寿命なキャスターがおすすめです。
AGVやAMRなどの無人搬送機には、優れたグリップ力を持つ特殊車輪材質でカーブでの横滑りを軽減できるキャスターがおすすめです。
おすすめのキャスター
キャスターの種類
取付方法
プレートタイプ
プレートタイプのキャスターは、取付面にねじ止めで取り付けます。
箱物の家具におすすめです。
平付プレートタイプやプレート式とも呼ばれます。
ねじ込みタイプ
ねじ込みタイプのキャスターは、取付相手にめねじを切っておくかアジャスターベースを取り付けておいて、キャスターのねじをねじ込んで取り付けます。
金属製の什器・装置や取付面が小さい家具や機械におすすめです。
差し込みタイプ
差し込みタイプのキャスターは、取付相手にソケットを挿入してキャスターのピンを差し込んで取り付けます。
キャスターを強い力で引っ張ると外れるため、メンテナンス性に優れています。
自在車・固定車
自在車
自在車のキャスターとは、車輪の向きが360度旋回し、操作の自由度が高いタイプです。旋回式キャスターとも呼ばれます。
一時的に旋回を止めるロック機構が備わったタイプもあります。
車輪の軸と旋回部の中心がずれ、偏心した形状になっています。
固定車
固定車のキャスターとは、進行方向が固定されているタイプです。
固定式キャスターとも呼ばれます。
直線方向に進む場合に操作しやすいキャスターです。
車輪の軸も旋回部の中心もキャスターの中央にあります。
すべて自在車にすると小回りが効き、すべて固定車にすると直進方向に操作しやすくなりますが、自在車と固定車を組み合わせる使い方もあります。例えば、台車の進行方向を自在車に・押し手側を固定車にすると台車がぶれにくく安定した走行になり、逆にすると小さな力で旋回しやすくなります。
ロック機構
車輪ブレーキ
車輪ブレーキとは、車輪の回転をロックできる機構です。ストッパーを車輪に押し当てることで、摩擦によって車輪が回転しなくなります。
車輪ロック
車輪ロックとは、車輪の回転をロックできる機構です。キャスターにあるレバーやボタンを押すことで、内部にあるピンが動いて車輪が回転しなくなります。
赤い表示があることでロックが掛かっているか・いないか一目で分かるキャスターもあります。
トータルロック
トータルロックとは、自在車のキャスターの旋回と車輪の回転を同時にロック(およびブレーキ)できる機構です。
車輪数
単輪
単輪のキャスターとは、車輪が1つのタイプです。
車輪を正面から見た時の幅が小さく、双輪と比べてすっきりした見た目になります。
双輪
双輪のキャスターとは、車輪が2つのタイプです。
床への接点が2ヶ所になるため、単輪と比べて荷重が分散されて床がへこみにくくなります。また旋回時に車輪が互いに逆方向に回転することで床面との摩擦が軽減され、単輪より旋回性に優れています。
三輪・タートル
三輪のキャスターとは、車輪が3つ並んだタイプです。一直線ではなく三角形に配置したものはタートルタイプとも呼ばれています。
双輪の効果に加えて、荷重が三ヶ所に分散されるためさらに軽く操作できます。
タートルタイプは小回りが効き、位置の微調整がしやすいです。
キングピンレス・ダンピング
キングピンレス
キングピンとはキャスターの旋回に使う軸芯のことです。
キングピンレスキャスターはキングピンがないため、ガタつきが少なく旋回性に優れています。
ダンピング
ダンピングキャスターとは、スプリングなどが入っていることで衝撃を吸収できるものです。
段差の乗り越え時や床面の凹凸の衝撃を吸収したり、走行音が静かになったりします。
キャスターの選び方
上記の耐荷重、取付方法、自在車・固定車、ロック機構の有無、車輪数などの仕様を決定してください。
弊社WEBサイト スガツネットの「絞り込み検索」を使用すると、ご希望の仕様のキャスターを誰でも簡単に探すことができます。
絞り込み検索ではこれらの他に、車輪径などのサイズに関する項目やねじ込みタイプのねじサイズなどでの製品の絞り込みが可能です。
ユニークなキャスター・関連部品
アジャスター付キャスター
アジャスターが付いているキャスターです。頻繁に移動が必要ない什器や設備におすすめです。
ケーブルカラマン
医療機器などのキャスターを覆って、ケーブルの踏みつけや巻き込みによる断線などを防止します。