設計者・部品選定者なら知っておきたい 【家具用引き戸金物】の基礎知識
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【家具用引き戸金物】の基礎知識
箱物と呼ばれる移動できる置き家具収納から、床や壁に固定する造作家具の収納、店舗のショーケースまでさまざまな場所に使用される家具用の引戸金物。種類や選び方などの基礎知識や、ユニークな引戸金物をご紹介します。
このページの内容
家具用の引き戸金物とは?
引き戸金物とは、引き戸の扉をスライドするために扉や天板・地板に取り付ける部品です。
収納物を取り出すときは扉が真横にスライドするため、開き戸のように扉が手前に出っ張らず、家具の手前のスペースが狭い場所にもおすすめです。また、扉を長時間開けたままにしても邪魔になりません。
扉の上部に金物を取り付けるため、開き戸金物より比較的幅の広い扉にも対応できます。
収納家具全体を扉で覆えば隠す収納に、オープン棚の一部に扉を設置すれば見せる収納にできます。
また扉をガラスにすることで、収納ではなくショーケースにもできます。
隠す収納
見せる収納
ショーケース
家具用の引き戸金物の種類
閉じた時の扉納まり フラット扉・引き違い扉
フラット扉
フラット扉の引戸とは、扉を閉じたときに左右の扉がフラットになる引戸のことです。
扉を開けるときは、少し手前に扉を引いてから左右にスライドします。
引き違い扉
一般的な引き戸は、扉を閉じたときに左右の扉が段違いになります。引き違い戸とも呼ばれます。
扉を開けるときは、そのまま左右にスライドします。
扉の材質 木扉・ガラス扉
木扉
ガラス扉(フレームレス)
ガラス扉(フレームあり)
フレームありのガラス扉は、アルミフレーム仕様の他に上下のみにフレームがあるタイプもあります。
上吊り式・下荷重
上吊り式
上吊り式の引き戸金物とは、扉の上部に取り付けたローラーが家具の天板に取り付けたレールの中を走行することで、扉が左右にスライドするタイプです。
地板の表面にレールや溝がなく、スッキリとした見た目になるだけでなく、ほこりも溜まりにくく掃除がしやすいことも特長です。
扉の下部には、扉が前後に振れないようにガイドが必要ですが部品が目立たない構造になっています。
具体的には、扉の下にレールを掘り込んでガイドは扉を開け閉めしても見えない位置に取り付けるタイプと、レールやガイドを地板のさらに下に隠すタイプがあります。
下荷重
下荷重の引き戸金物とは、扉の下部に取り付けたローラーが家具の地板に取り付けたレールの中を走行することで、扉が左右にスライドするタイプです。
一般的には、扉を開けた時に地板にレールの溝が見えます。※
扉の上部には、扉が前後に振れないようにガイドが必要です。
※一部の製品は下レールを地板の裏に取り付けることで、地板の表面にレールや溝が見えません。
弊社では上吊り式の製品をメインにラインアップしています。
引き戸の納まり インセット・アウトセット・ミックス
インセット
引き戸金物のインセットとは、家具を正面から見た時に扉が天板と地板の内側に入る納まりです。
家具の上のスペースを広く活用できますが、天板と地板の木口が見えるデザインになります。
アウトセット(かぶせ)
引き戸金物のアウトセットとは、扉が天板と地板の外側に被さる仕様です。かぶせ仕様とも呼ばれます。
扉を閉めると天板と地板の木口が見えなくなり、すっきりとしたデザインになります。
ミックス
引き戸金物のミックスとは、扉が天板に対してはインセットに・地板に対してはアウトセットになる仕様です。
ソフトクローズ・ソフトオープン機能付
静かにゆっくりと扉が閉まる・開くことで、動きの高級感を演出できます。
製品によってはオプションでソフトクロージングダンパーを追加することでソフトクローズ・オープンにできます。
家具用引き戸金物の選び方
ラインアップが豊富な家具用引き戸金物ですが、下記の仕様を決めることで最適な製品をお選びいただけます。
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1閉じた時の扉納まり:フラット扉 または 引き違い扉
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2扉の材質:木 または ガラス
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3扉のサイズ:扉幅・高さ・厚さ
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4扉の重量:25kgなど
もし設計時点で重さが分からない場合は、材料からおおよその重さが計算できる扉質量 計算ツールもあります。 -
5扉の枚数:1枚、2枚、3枚など
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6扉の納まり:インセット、アウトセット、ミックス
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7荷重方式:上吊り式 または 下荷重
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8動き:ソフトクローズ・オープンの有無
作りたい家具の仕様から製品を絞り込めるページはこちら
ユニークな動きの引き戸金物
扉が左右にスライドする一般的な引き戸金物以外に、下記のユニークな引き戸金物もあります。