印の家具建築金物・産業機器用 機構部品メーカー|アーキテリア系製品
家具や機器の引き出しなどさまざまな場所で使用されるスライドレール。
種類や選び方などの基礎知識から金物メーカースガツネならではのユニークなスライドレールをご紹介します。
スライドレールとは引き出しに取り付けて開閉をスムーズにするもので、重い引き出しも軽い力で動かすことができます。引き出し1つに対して2本使いが基本です。
家具・キッチン・店舗什器の引き出しに限らず、ATMやサーバーラックの内部装置を移動する直動機構としても使用されています。
スライドレールの構成部品は、下記の通りです。
4の複数のボールによって荷重が分散されるため、取り付けた引き出しなどを軽い力でスムーズに動かすことができます。このようなスライドレールは「ボールベアリングタイプ」「ベアリング式」などと呼ばれることもあります。
※一部の製品はローラータイプです
ガイドレールと形状が似ていますが、スライドレールとガイドレールの違いは以下の通りです。
サイドマウントは最も普及しているスライドレールです。
引き出しの左右(側板・妻板)に1本ずつ取り付けます。
家具本体や筐体にアウターメンバーを、引き出しにインナーメンバーを取り付けます。
家具に使用する場合は、厚さ12.7mm 程度のレールがよく使われます。
アンダーマウントは引き出し底面に取り付けるスライドレールで、引き出しを開けた時にレールが見えず、スタイリッシュな家具や装置を製作できます。
スチールボールではなくローラーによってスライドします。
引き出しの側面にレールがないため、引き出しの幅を広くできる一方、引き出しの深さは若干浅くなります。
ボックスタイプは、アンダーマウントと同様に引き出し底面に取り付けるスライドレールで、引き出しを開けた時にレールが見えず、スタイリッシュな家具や装置を製作できます。
スチールボールではなくローラーによってスライドします。
スライドレールと金属製のサイドパネル(側板)がセットになっているため、サイドパネルを別途用意する必要がありません。
底引きタイプは主に引き出し底面に取り付けるスライドレールで、引き出しを開けた時にレールが見えません。
また、引き出し底面と筐体の隙間が少なく済みます。他のスライドレールと比べると耐荷重は低くなります。
画像の製品C203Vであれば、引き出しの側板側だけでなく筐体側からもレールが見えないため、ガラスショーケースなどに最適です。
スライドレールは、種類によって引き出しを引き出せる長さが変わります。
スライドレールの移動距離とは、アウターメンバーからインナーメンバーを引き出せる距離のことです※。図のように、スライドレールを完全に伸ばした時の長さから完全に閉じた時の長さを引いた長さです。トラベル量やストローク量などと呼ばれることもあります。
※底引きなどの一部製品は定義が異なります。各製品の図面でご確認ください。
2段引のスライドレールは、引き出しを完全に引き出した時に奥まで引き出せず、インナーメンバーの約1/4がアウターメンバーに残ります。3/4スライドまたはシングルスライドとも呼ばれます。
実際の動きは上記の動画でご覧ください。
厚みがコンパクトなため、3段引きに比べて引き出しの内寸・幅を広く取ることができます。
3段引のスライドレールは、引き出した時にインナーメンバーがアウターメンバーから完全に出る仕様で、完全スライドまたはダブルスライドとも呼ばれます。
引き出しがキャビネットから完全に引き出せるため、収納物の出し入れがしやすい家具や装置にできます。
実際の動きは上記の動画でご覧ください。
※3段引きであってもインナーメンバーがアウターメンバーから完全に出ない製品もあります。
※ダブルスライドとは2段引のスライドレールを2本組み合わせたものを指すこともあります。
4段引のスライドレールは、3段引きよりさらにインナーメンバーを引き出せる仕様で、ロングオーバートラベルとも呼ばれます。
引き出しが大きく引き出せるため、ATMなどの装置に使用すると、メンテナンス作業が楽になります。
セルフ&ソフトクローズ機構付のスライドレールは、引き出しをゆっくりと静かに閉めつつ(ソフトクローズ)、最後まで押し込まなくても引き込んで全閉(セルフクローズ)するものです。
動きに高級感を与えることができ、閉め込む際の衝撃も抑えられるため、機械内部の精密機器への衝撃緩和にも使用されています。
セルフクローズ機能は閉時のはね返りも防止できます。
プッシュオープン機構付のスライドレールは、引き出しの前板を押すだけで開けられるものです。両手が塞がっていても肘で開けることができます。
また、押すだけで開くためハンドルやつまみがないフラットなデザインの家具や装置にできます。
閉時の位置よりさらに押し込む、押し代が必要です。
開時ロック付のスライドレールは、引き出しの全開状態=レールを引き出したままロック(固定)できます。閉める時はレバーを操作しロックを解除します。(動画はこちらのタイプ)
閉時ロック付のスライドレールは、引き出しの全閉状態=引き出しを閉めた状態でロック(固定)できます。開ける時はレバーを操作しロックを解除します。
※レバーの位置は製品によって異なります。
開時保持付のスライドレールは、引き出しの全開時に、その引き出した状態を仮保持(簡易的に保持)できます。
開時ロックとは異なり、引き出しを閉める時レバー操作は不要で、引き出しを押すだけで解除できます。
閉時保持付のスライドレールは、引き出しの全閉時に、その閉まった状態を仮保持(簡易的に保持)できます。
閉時ロックとは異なり、引き出しを開ける時レバー操作は不要で、引き出しを引くだけで解除できます。(動画はこちらのタイプ)
脱着タイプのスライドレールとは、アウターメンバーからインナーメンバーが外れる仕様で、キャビネット本体と引き出しを取り外した状態でレールを取り付けできるため、施工を簡単にできます。特に木工の引き出しではこのタイプが一般的です。
ただし、アウターメンバーから外したインナーメンバーは同じ品番同士であっても別のアウターメンバーに入れないでください。組み合わせた状態で寸法管理をしているため、動きがスムーズでなくなるなど動作不良の要因となります。
消音タイプのスライドレールは、引き出しの全開時・全閉時に発生するレールの金属音を緩和できるものです。
「脱着タイプ」が登場するまでは、レールを脱着させるために「ブレーキタイプ」が選ばれていました。
レール全開時に摩擦抵抗によるブレーキがかかり、さらに強く引くとレールが抜けて脱着できます。
引き出しが動かなくなった(狭い距離しか動かなくなった)、動きが硬くなった際は、クリープ現象が起こっている可能性があります。
クリープ現象とは、スライドレールを取り付けた引き出しなどを使用しているうちに、レール内のボールが徐々に移動して偏り、スライドレールの移動距離よりも狭い範囲しか動かなくなることで、別称「ボールクリープ」とも呼ばれます。
クリープ現象が起きた場合、強制的にスライドレールを全開することで修正できますが、速いスピードや、強い衝撃を与えると破損の原因になりますのでゆっくり力を加えながら引っ張ってください。
ボールクリープが発生しやすい条件は、レールが平行に取り付いていない場合、移動距離を全部使わない場合、スムーズに動かさない場合、上下にスライドさせる場合などです。
スライドレールの耐荷重は「耐荷重N/ペア」「耐荷重kgf/ペア」のように表記され、2本1セットで使用して耐えられる荷重を表しています。引き出すものの総重量より大きい耐荷重のスライドレールをお選びください。
例えば家具の引き出しに使用する場合は、引き出し本体の重量と収納物の重さを合計した総重量でお考えください。
また弊社では、図のように引き出しを開けた際の中心(移動距離および左右の幅の中心)と総重量の重心位置が一致しているときに耐えられる重量を耐荷重としています。
手前に荷重がかかる先端荷重ではありません。
Point : サイドマウントのスライドレールは水平状態では使えない!?
垂直状態での使用を想定しているスライドレールは、水平状態では荷重を受ける構造になっていないため使用できません。耐えられる荷重が、WEBサイトやカタログに表記している耐荷重の25%以下になってしまいます。
水平状態で使用する場合は、底引きのレールをご使用ください。
スライドレールには、木工向きと板金向きがあります。
木工は引き出しとキャビネット(筐体)の隙間寸法の精度をを出すことが難しいため、隙間が若干広くなっても寸法誤差を吸収できるレールを選ぶ必要があります。
木工向きの弾性タブ付きスライドレールは、アウターメンバーに弾性タブと呼ばれるコの字の切り欠きがあります。この切り欠きが若干キャビネット側に広がることで、取り付けた際の若干の寸法誤差を吸収してくれます。
木工向きのスライドレールとして最もよく使われるタイプです。
木工向きのアンダーマウントは、引き出し底面に取り付けるスライドレールです。
引き出しがスライドレールの上に載る形のため、高い寸法精度がなくても取り付けできます。
基本的には木工向きのスライドレールは、弾性タブ付きとアンダーマウントから選ぶことをおすすめします。
木工向きのL字アングル付きスライドレールは、インナーメンバーに切り起こしがあり、棚板の裏側にねじ止めできます。
アングル部分のねじ穴が長穴になっているため、若干の寸法誤差を吸収できます。
木工向きのドロワーレール付きスライドレールは、弾性タブのないスライドレールにドロワーレールと呼ばれる部品が付いたものです。
ドロワーレールを引き出しに取り付け、レール本体をキャビネットに取り付けます。ドロワーレールがレール本体の上に載る構造で、この接合部分に若干の遊びがあるため、若干の寸法誤差を吸収してくれます。
板金向きのスライドレールは、アウターメンバーに木工用のような切り欠きはありません。キャビネットや引き出しの寸法精度が求められます。
※木工向きのアンダーマウントを除いた3タイプは板金に使用しても問題ありません。
上記の引き出せる長さ(移動距離)の違いや動き・機能から必要な仕様を指定してください。
なお弊社WEBサイト スガツネットの「絞り込み検索」を使用すると、ご希望の仕様のスライドレールを誰でも簡単に探すことができます。
下記のページの左側に「耐荷重」「移動距離」「動き」などの仕様が並んでいて、必要な部分に数値を入力したりチェックを入れるだけで、条件に合った製品が表示されます。
各項目の「説明」ボタンをクリックすると、解説や図解をご覧いただけるため、用語が分からない方も簡単に絞り込みができます。
スライドレールのトップメーカーであるAccuride(アキュライド)との提携により、特注対応もきめ細やかで迅速に対応できます。
レール長さの1mm単位での変更、耐久性のアップなどご相談ください。
※最低ロット100本〜、最短で2ヶ月で納品
レール高さがコンパクトながら耐荷重にも優れています。 黒色や金色もあり、什器のカラーに合わせて選べます。
独自機構が閉時のガタつきを減らし、前板を押す位置(プッシュエリア)が中央から多少ずれても引き出しを開けられます。
引き出しの全開時にレールが固定され、レバー操作をすることで閉められます。同様に、全閉時にもレールが固定され、レバー操作をすることで開けられます。
ロック解除レバーが手元側にあるため、操作しやすいです。
引き出しの全開時と全閉時に、その状態を簡易的に保持します。
振動などで勝手に引き出しが開いてしまう現象を防げます。
超小型のスライドレールです。検査装置や分析装置などで小型のユニットを少しだけ移動させたい時におすすめです。
重量用のスライドレールです。バッテリーの引き出しなど重量物の引き出しにおすすめです。
その他にもスガツネ工業では、耐荷重1tの超重量用の製品もラインアップしています。
プッシュオープン機構とセルフ&ソフトクローズ機構を併せ持ったスライドレールです。閉じ際の跳ね返りがなく、スムーズに閉まります。また、切り替えスイッチによりセルフ&ソフトクローズ機構のみにすることも可能です。
三次元調整機能付きのため、複数の引き出しが並んだ家具も目地が揃った美しい仕上がりにできます。引き出しを取り付けた後にレールを取り外すことなく調整できるため、施工性に優れています。
レールと金属製サイドパネル(側板)がセットになった引き出し用スライドレールです。
プッシュオープン機構とセルフ&ソフトクローズ機構を併せ持ったスライドレールです。閉じ際の跳ね返りがなく、スムーズに閉まります。また、切り替えスイッチによりセルフ&ソフトクローズ機構のみにすることも可能です。
引き出しを開けた時に、側面にも筐体側にもレールが見えません。また薄型のためショーケースなどのデザインを損なわず、脱着も可能で施工が簡単です。
取り付け時の注意はこちら(Coming Soon)
スライドレールのよくあるご質問