設計者・部品選定者なら知っておきたい 【アジャスター】の基礎知識
設計者・部品選定者なら知っておきたい
【アジャスター】の基礎知識
テーブルや椅子、箱もの家具から小型の分析装置や大きな半導体装置などさまざまな場所で使用されるアジャスター。
種類や選び方などの基礎知識から金物メーカースガツネならではのユニークなアジャスターをご紹介します。
アジャスターとは?
アジャスターとは家具や機器の脚や底部に取り付けて高さを調整するもので、家具や装置の水平を保って安定させる(がたつきを無くす)ために使用されます。英単語のadjust(調整)が由来です。
アジャスターを使用することで、床が波打っていたり傾いていても家具や装置を水平に保つことができます。一部の製品は免震などの機能も持ち合わせています。
アジャスタパッドやアジャスタフット、アジャスターボルト、レベルアジャスターなどと呼ばれることもあります。
アジャスターの耐荷重の考え方
アジャスターの耐荷重は「耐荷重N」「耐荷重kgf」のように表記され、1個あたりの耐えられる荷重(垂直荷重)を表しています。
家具や機械に取り付けた際は「アジャスター1個あたりの耐荷重×使用個数(床にきちんと接地している数)=最大耐荷重」で算出します。最大耐荷重が機械の総重量や机と上に置くものを合わせた重さを上回るように選定してください。
スガツネ工業では、小さな家具や卓上の分析装置に使用する小型(M6)のアジャスターから半導体装置などに使用する耐荷重11tの超大型(Tr60)のアジャスターまで幅広くラインアップしています。
アジャスターの高さ調整方法
ねじの頭部をドライバーで回す
地板にアクセスホールという穴を開け、そこにプラスドライバーを入れてねじ部上面にある十字穴を回すことで高さを調整するタイプです。
ねじ部が長いものを選べば、台輪があって床から地板が遠い家具でもキャビネット内部から調整でき、便利です。
アクセスホールは、調整する時以外は穴埋めキャップで目隠しをすると家具や装置の見た目がすっきりします。
底部のねじをドライバーで回す
アジャスターの底にある十字穴をプラスドライバーで回すことで高さを調整するタイプです。
家具や装置などを持ち上げて調整するため、軽いものに使用されます。
ナットをスパナで回す
ナットがねじ部と一体化していて、ナットをスパナで回すことで高さを調整するタイプです。
スパナを入れるスペースが必要ですが、上に家具や機械が取り付いたまま調整できます。
底部を手で回す
アジャスターの底部を手で回すことで高さを調整するタイプです。
底部が二重構造になっていて、手で回しても二重構造の上の部分のみ回転するため、家具や装置を床に置いたまま調整できます。工具を使わないため手軽に調整ができます。
高さ調節用穴を六角レンチで回す
側板に穴を開け、そこに六角レンチを入れてアジャスター側面にある六角穴を回すことで高さを調整するタイプです。
アジャスターの種類
ねじ部と接地面の材質
ねじ部
接地面
ねじ部の材質
ステンレス鋼製
耐食性や耐久性に優れ、水回りにも使用できます。
鋼製
ステンレス鋼製と比較して安価です。ブラック仕上げもあります。
接地面の材質
金属
変形しにくく、高荷重に対応できます。
樹脂
金属に比べ床が傷つきにくいです。
エラストマー・
エチレン酢酸ビニル
樹脂よりも滑りにくい素材です。
付加機能
首振り機構付き
首振り機構とは、アジャスターの首が振れる(動く)ようになっている機構です。
傾斜がある床や波打っている床面でも水平を保てます。家具や装置の脚が斜めになっている場合にも使用されます。
※アジャスターの首とは、底部とボルト部の繋ぎ部分を指します。
免震
地震の激しい揺れを吸収し、台脚だけで免震できます。
床固定の転倒防止構造とは異なり、ボルトと受皿によって振動をやさしく吸収する「免震構造」のため、機器・装置の転倒や内部基盤の破損防止に役立ちます。
通常
小さな地震のとき
大きな地震のとき
自動調整機構付き
自動調整機能とは、床面の段差によるテーブル脚のガタつきを、特殊な粘弾性体で自動的に解消する機構です。
テーブルの配置換えの際に手間がかからず便利です。
簡易調整機能付き
簡易調整機能とは、テーブルの天板を手で押すだけでガタつきを調整できる機能です。
2つ並べたテーブルに段差があっても、簡単に高さを揃えられます。
ハイジェニック(食品機械向け)
ハイジェニックシリーズのアジャスターは、衛生管理が求められる環境に最適な製品シリーズです。
汚れが付いても洗浄が簡単なため、洗浄時間の短縮につながります。Oリングは自然界で珍しいブルー色のため、万一食品などに混入しても発見しやすくなります。
焼き付き(かじり)防止処理
アジャスターの焼き付き防止処理とは、ねじ面の摩擦を小さくする処理のことです。これによってスムーズに高さ調整ができます。
ステンレス鋼は熱伝導率が低く熱膨張率が高いため、ナット締付時にねじに摩擦熱が発生します。その熱によってねじが膨張して、雄ねじと雌ねじが密着して動かなくなることを「焼き付き」といいます。
屋外対応
オープンカフェなどの屋外で使用できます。
キャスター付き
キャスター付きアジャスターとは、名称の通りキャスターの機能を併せ持ったアジャスターです。
アジャスターの高さを低くするとキャスター部分が床に付き、移動できます。
締結機能付き
締結機能付きアジャスターとは、名称の通り締結の機能を併せ持ったアジャスターです。
家具の地板と側板を締結できるため、別途で締結部品が必要なく部品点数を少なくできます。
関連製品
筐体側に取り付けるアジャスターベース
アジャスターベースを使用することで、木の家具にも簡単にアジャスターを固定できます。ねじ止めや打ち込みなどの取付方法があります。
アジャスターのねじサイズに合わせてお選びください。
アンカーボルト固定ができる押え金具
アジャスターの六角ナット部に押え金具をはめ込み、アンカーボルトで簡単にアジャスターを固定できます。工作機械、ベルトコンベアー、振動する装置などに最適です。
アジャスター押え金具